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知られざる実力派武将

2010.05.01 - 戦国史 其の二

戦国時代の武将で、実力がありながら、あまり名の知られていない人物を、簡単な略歴と共に紹介したい。


八柏 道為(やがしわ みちため / ?~1595年)

出羽の戦国大名、小野寺家に仕える重臣であり、知友兼備の将と云われていた。出羽の狐と呼ばれた謀将、最上義光は小野寺領を虎視眈々と狙っていたが、それを防いできたのが八柏道為であった。天正14年(1586年)、有屋峠において、小野寺軍と最上軍が激突した際、八柏道為の活躍によって緒戦は小野寺軍の勝利に終わったと云う。この合戦の詳細は明らかではないが、最後は最上軍優勢の形で終わったようだ。


この後も、最上義光は小野寺領を併呑せんと狙い続けるが、その目的のためには八柏道為の存在がどうしても邪魔であった。文禄5年(1595年)、義光は一計を案じ、道為が内通しているとの偽書を送り、それを主君の小野寺義道の目に留まるようにしむけた。はたして、
義道はこの計略に引っかかり、道為を殺害してしまう。小野寺家の衰亡は、この忠臣を失った時から始まった。以後、義光は事あるごとに小野寺領を蚕食していった。


慶長5年(1600年)、関ヶ原合戦において、義道は緒戦は東軍側に身をおいたものの、義光憎しの一心から西軍に鞍替えしてしまう。関ヶ原合戦が東軍勝利に終わると、小野寺家は御家取り潰しとなり、義道は石見、津和野の地に配流の身となった。知勇兼備の将と謳われた八柏道為が存在していれば、また違った展開があったのかもしれない。ただ、八柏道為の人物像と活躍は「奥羽永慶軍記」と云う軍記によるところが大きく、それが史実であったかどうかは定かではない。


梅津 憲忠(うめづ のりただ / 1572~1630)

少年時代は浪人であったが、父、道金と共に常陸に移り住み、佐竹家の世話になるようになる。その間、憲忠は自らの研鑽に努め、後に開花する高い政治的素養を培った。やがて、佐竹義宣の近習に取り立てられ、その高い実務能力を買われて祐筆となった。憲忠は、初期佐竹藩の確立に尽力し、義宣の篤い信頼を受けて家老にまで出世する。

憲忠は実務だけでなく、馬術や鉄砲にも長ずる武功の士でもあった。大坂の冬の陣では、奮戦して重傷を負っている経歴もある。また、連歌や書道にも深い造詣がある文化人でもあった。弟の政景も優れた実務能力を有しており、兄弟揃って、佐竹家の藩政を主導した。弟の政景は、近世初期の資料として最良のものとされている、梅津政景日記を残している。


大縄 義辰 (おおなわ よしとき / ?~?)

常陸の戦国大名、佐竹家に仕えていた武将であり、佐竹義重の子息、盛重が会津の戦国大名、蘆名家を引き継ぐに当たって、共に会津に出向した。新しく蘆名家当主となった盛重であるが、まだ年少である事から、義辰がその後見役として実務を執った。義辰には、佐竹義重の意を汲んで、蘆名家を主導する事を期待されていた。

天正17年(1589年)、蘆名家は、伊達政宗と事を迎える事となり、両者は摺上原に於いて激突する。この時、蘆名先手衆の指揮官を務めたのが、佐竹系筆頭であった大縄義辰だったようだ。義辰ら蘆名先手衆は奮戦したものの、後方の蘆名部隊は戦いに参加しなかったので、衆寡敵せず伊達軍に打ち破られてしまう。蘆名家はこの戦いで滅亡し、盛重と義辰は常陸へと逃れた。義辰はその後、朝鮮出兵に伴って、肥前名護屋に在陣したり、水戸城の普請奉行を務めたりした。生没年は不詳である。

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