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戦国の暗殺者 遠藤兄弟

2009.04.01 - 戦国史 其の二
永禄9年(1566年)、 備前の戦国武将、宇喜多直家は、浦上宗景を主君として仰いでいたが、内心には取って代わる野心を秘め、勢力拡張に努めていた。直家は美作の地に目を付け、手を伸ばさんとしたが、そこに立ちはだかって来たのが三村家親であった。備中一国を領有し、武勇の誉れ高い三村家親は、版図拡大を狙って美作に侵攻してきたのである。この美作には宇喜多家の勢力下にある諸城があって、直家は深刻な脅威を覚えた。


直家は、この強敵に正面から立ち向かうのは困難と考え、かねてから策を練っていた。戦国の戦は、大抵、相手の主将を討ち取れば、勝敗は決する。だが、軍勢をもって討ち取るのは、多大な費用と犠牲、それに幸運を必要とした。もし、暗殺で始末する事が出来るなら、これ以上、効率的なものは無い。直家は、その暗殺という任務に最適の人物を2人雇い入れていた。それは、遠藤又三郎・喜三郎の兄弟で、どちらも鉄砲の名手として知られており、更に美作の地理に詳しく、三村家親の顔まで見知っていたのである。この兄弟は浪人であったが、直家は、多額の報酬と重臣への取立てを約束して、家親の暗殺を依頼した。遠藤兄弟は了承し、計画を立て準備を整えると、三村家親が在陣している美作の地へと向かった。


遠藤兄弟は美作の地に入ると、方々を探索して、家親が興禅寺に在陣していることを突き止めた。 永禄9年(1566年)2月5日、遠藤兄弟は目立たぬ格好をし、短筒(片手で扱える火縄銃)と玉薬を携えると、夜を待って輿善寺の背後の竹薮に忍び込んだ。遠藤兄弟は隙を見て堂内に侵入し、内部の話し声がする方へと忍び寄った。唾で指を湿らせ、障子にそっと穴を開け部屋を覗うと、家親は丁度、軍議の真っ最中であった。又三郎は早速、短筒を撃とうとしたが、なんとここで火縄が立ち消えとなってしまった。


そこで、弟の喜三郎は警固の兵を装い、大胆にも番兵に気安く話し掛けたりしながら、かがり火から短筒用の火を拝借し、再び堂内に侵入する。そして、兄、又三郎は軍議に余念のない家親を、障子の破れから狙いを定め引き金を引いた。堂内はたちまち騒然となった。遠藤兄弟はその混乱に乗じて竹藪に隠れ、そのまま輿善寺から脱出する事に成功した。 遠藤兄弟による家親暗殺は実際にあった出来事であるが、この話は出来過ぎている様にも感じる。おそらく、遠藤兄弟は普通の火縄銃を用意して輿善寺近くに身を潜め、大将格の武将に狙いを定めて遠くから狙撃したのではないか。命中率を上げるため、2人同時に発射したかもしれない


いずれにせよ、遠藤兄弟は無事使命を果たし、銃弾の命中を直家に報告する。しかし、その後も三村勢が動揺することなく整然としていた為、当初、直家はこの報告を信用しなかった。それから、ほどなくして三村勢は備中松山城へと引き揚げて行き、家親の死を発表した事により直家は暗殺の成功を確信した。


遠藤兄弟は、宇喜多直家から決死の働きの褒美として、浮田の姓と1,000石の知行を与えられ、又次郎は浮田河内、喜三郎は遠藤修理亮と名乗った。後に浮田河内は4,500石、遠藤修理亮は3,500石を加増され、名実共に家中の有力部将となる。この遠藤兄弟による三村家親暗殺は、日本で始めての銃による暗殺だと云われている。


一方、この三村家親、暗殺後の三村家の運命は悲惨であった。家親の子、元親は宇喜多直家に復仇戦を挑むが、明禅寺合戦で大敗北を喫し、徐々に勢力を失ってしまう。そして、天正3年(1575年)には、毛利家と宇喜多家に挟撃を受けて、元親は切腹、元親の子で僅か8歳であった勝法師丸も斬られて三村家は滅亡に到る。三村家滅亡後、天正5年(1577年)、宇喜多直家は主君、浦上宗景を追放して戦国大名として自立した。


遠藤兄弟は大名暗殺という非常に危険な任務を完遂して、よく生還できたものである。当時の戦国日本では、名も知れぬ暗殺者の多くは任務に失敗し、成功しても命を落としていったであろう。


三村家親、暗殺後の三村家の説明。
http://www.ibara.ne.jp/~my-way/newpage21.htm



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