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備後福山城

備後福山城は、広島県福山市にある平山城である。



福山城は、元和5年(1619年)、徳川譜代である水野勝成が備後10万石の領主として入封してから築城が始まり、3年後の、元和8年(1622年)、総石垣の近世城郭として完成した。勝成には毛利氏を始めとする西国大名の監視役を期待されていた事から、幕府もその築城を援助し、廃城となった伏見城の用材を届けて、伏見櫓や月見櫓などもそっくり移築された。福山城の規模は、10万石の大名の居城としては破格であり、高石垣の上にそそり立つ5重の天守閣や、30以上の櫓が建ち並ぶ様は壮観であった。また、城下町を土塁や水掘でそっくり包み込む、総構えも有していた。尚、初代福山藩主となった水野勝成は徳川家臣きっての勇将ながら、主と居所を転々と変えた奔放な人物である。伝えられる武勇の話には事欠けないが、統治面でも抜群の能力を発揮し、この勝成の時代に福山の町の基礎が整えられた。



しかし、元禄11年(1698年)、水野氏は勝成から五代目の勝岑(かつみね)で無嗣断絶し、備後福山領は一時、幕府の天領に組み込まれた。それから2年後の、元禄13年(1700年)、出羽山形藩主であった松平忠雅が10万石で入封となるが、10年後の宝永7年(1710年)、伊勢桑名に再び転封となり、代わって下野宇都宮藩主であった阿部正邦が10万石で入封した。そのまま阿部氏による統治が続き、やがて幕末の動乱期を迎えると、最大の監視目標であった長州藩が牙を剥き、慶応4年(1869年)1月には、新政府軍として福山城に迫った。かねてからの幕府の懸念が的中した形となり、福山藩には長州軍を食い止める本来の役割が期待されたが、本格的な戦闘を交える前に福山藩はあっけなく新政府に恭順した。


時代は明治となり、通達された廃城令によって、福山城の建物も民間に払い下げられていったが、天守閣や伏見櫓等は辛うじて残された。しかし、そのまま修繕もされず、荒れるに任されていたが、時が経るに連れ、その歴史的、文化的価値が見直され、明治30年(1897年)に天守閣や伏見櫓等の修復工事が行われた。福山城の再評価は進み、昭和6年(1931年)には天守閣は国宝に認定され、続いて、昭和8年(1933年)には、伏見櫓、御湯殿(御風呂屋)、筋鉄御門も国宝となった。だが、昭和20年(1945年)8月8日、アメリカ軍機による空襲を受け、天守閣や月見櫓、御湯殿など貴重な歴史的建造部の多くは焼失してしまう。昭和25年(1950年)、戦災を免れた伏見櫓、筋鉄御門は国の重要文化財に指定され、昭和41年(1966年)には天守閣、月見櫓が鉄筋コンクリートで、御湯殿は木造で再建された。


福山城
福山城 posted by (C)重家

↑福山城


福山駅のすぐ前にそびえたっており、駅から出ると、まず立派な高石垣が目に入ってきます。


福山城
福山城 posted by (C)重家

↑伏見櫓


その名の通り、伏見城から移築された櫓で、重要文化財に指定されています。伏見城といっても秀吉時代のものは関ヶ原の戦いで焼け落ちているので、その後の徳川時代の再建伏見城から移築されたものです。



福山城
福山城 posted by (C)重家

↑筋鉄御門(すじがねごもん)


この門も重要文化財に指定されています。伏見城から移築されたと云われていますが、確証はありません。


福山城
福山城 posted by (C)重家

↑鐘櫓


城中、城下に時の鐘を告げた建物で、緊急時に武士を招集する太鼓も備わっていました。廃城後も建物は残っていましたが、その後、大幅な改修を受けているので原型は留めていません。



福山城
福山城 posted by (C)重家

↑再建天守閣


鉄筋コンクリート製の再建で、内部はなかなか充実した博物館となっています。展示品は撮影不可でした。展示品の中で、まだ十代の阿部一族の書き残した筆跡の見事さに感銘を受けたのを覚えています。



福山城
福山城 posted by (C)重家

↑天守閣から南を望む


手前にあるのが福山駅で、遠くには瀬戸内海が見渡せました。



福山城
福山城 posted by (C)重家

↑天守閣から西を望む


この方角の彼方には、仮想敵国たる長州藩がありました。



福山城
福山城 posted by (C)重家

↑天守閣から北を望む


福山城
福山城 posted by (C)重家

↑天守閣から東を望む


現在の福山市は、結構な都会です。誰もが知る東北の戦国武将、伊達政宗は大都会、仙台の基礎を作り上げた人物としても有名ですが、水野勝成もまた、この福山の基礎を作り上げた人物として知られて良いのではないでしょうか。



福山城
福山城 posted by (C)重家

↑福寿会館から眺める天守閣


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