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伊賀上野城

上野城は三重県伊賀市にある平山城である。


上野城は、天正13年(1585年)、伊賀の領主であった筒井定次によって築かれたのを始まりとする。慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いが起こると、定次は徳川方に味方して所領の安堵を得る。ところが、慶長13年(1608年)、徳川幕府は失政を理由に突如として定次を改易し、代わって、伊予今治領主であった藤堂高虎を伊賀、伊勢の領主として入れた。藤堂高虎は外様ながら、その優れた能力と献身的な働きをもって、徳川家より譜代並の信任を得ていた。伊賀上野城は、大坂を攻めるにもそこからの攻撃を防ぐにも重要な拠点となり得るから事から、徳川家はこの地を高虎に任せ、豊臣家を抑えこむ役割を期待したのだった。そして、
高虎もそれに応えんとして、慶長16年(1611年)1月より、自ら縄張りをして上野城の大改築を開始する。本丸には30メートル近い高石垣が築かれ、更にその上に5層の天守閣を築かんとした。


ところが、慶長17年(1612年)9月2日、暴風雨が吹き荒れて、完成間近の天守閣が倒壊、多数の死傷者を出す事態となった。
天守閣の建設には膨大な費用を要する事から再建は躊躇され、それから3年後の元和元年(1615年)5月には豊臣家が滅亡した事から、上野城は既に役割を終えた形となり、城郭も未完成のまま工事中止となった。同年6月に一国一城令が布告されたが、上野城は伊賀国の城として存続を認められた。しかし、高虎自身は伊勢国の津城を居城として、上野城には城代が置かれた。そのまま藤堂家の統治が続き、やがて明治の世を迎えると、他の城同様、上野城の建物も次々に取り壊されてゆき、昭和の時代を迎える頃には石垣だけの城となった。昭和10年(1935年)、地元の政治家、川崎充は私財を投じて、3層3階建ての天守閣をが再建された。天守閣は時代考証なされずに建てられているが、同時期に鉄筋コンクリートで再建された大坂城天守閣とは違い、木造伝統工法によって再建された事は評価に値するだろう。



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑上野城の高石垣


この
城の一番の見所はこの30メートル近い高石垣です。



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑再建天守閣



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑天守閣内部


木造建築で、内部には様々な展示品が置かれています。展示品の撮影は可能との事でした。


伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑藤堂良重使用の兜。


元は、藤堂高虎が豊臣秀吉より拝領したもので、高虎がそれを一族の藤堂良重に与えたとされています。慶長20年(1615年)の大坂夏の陣では、良重はこの兜を着用して参戦したものの、同年5月6日の若江の戦いで戦死しました。その後、この兜は遺品として同家に大切に保存されていましたが、近年になって上野城に寄贈されました。



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑日根野甲冑


胴には、鉄砲の試し撃ちの跡が残っています。



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑大名膳


藤堂家の家紋である蔦(つた)が描かれています。



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑天守閣からの眺め



伊賀上野城
伊賀上野城 posted by (C)重家

↑天守閣からの眺め


天守閣から四方を眺めると、この城が山に囲まれた盆地(上野盆地)の中心に在るというのが理解出来るでしょう。はた目にはさほどの要地には映りませんが、
大坂の豊臣氏と江戸の徳川氏が睨みあっていた時代には、重要な拠点と成り得ました。この上野城の高石垣は、緊張の時代の名残であり、築城の名手と謳われた藤堂高虎の特徴でもあります。
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