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但馬八木城

八木城は、兵庫県養父市にある山城である。



八木城の始まりは定かではなく、建久5年(1194年)~正治2年(1200年)頃、但馬国養父郡朝倉を本拠とする、朝倉高清が築いたのが最初とされている。高清は、次男、重清を城主として、同時に八木姓を名乗らせた。尚、この但馬朝倉氏からは更に一派が分かれて、後に越前朝倉氏を築く事になる。南北朝時代、八木氏は、当時、山陰に勢威を振るった山名氏に従って、山名四天王の1人に数えられた。八木氏は但馬を代表する国人の1人となり、八木城も時代が下るに連れ、発展していった。八木城は大きく二つに分かれており、標高409メートルの位置に南北朝時代に築かれたと見られる八木土城があり、それより低い標高330メートルの位置に本丸があり、ここが防御の要となっていた。



戦国時代の八木城は、上下一体で運用され、普段の政務や生活は、麓に築かれた居館で営まれていたと見られる。15代当主、八木豊信(1524~?)の時代になると、400年近くに渡って君臨してきた八木氏にも、戦国の荒波が押し寄せる事になる。当初、豊信は山名氏に従っていたものの、西の毛利家の勢力が強くなると、これに属した。しかし、東の織田家の勢力も強くなると、但馬は両者がせめぎ合う地となり、天正5年(1577年)には、織田家の部将、羽柴秀長の侵攻を受けた。これは何とか凌いだものの、天正7年(1579年)頃、抗しきれないと見て織田家に降参した。


豊信は、羽柴秀吉に属して、因幡国に知行を与えられ、若桜鬼ヶ城の守備を任された。その後の豊信の足取りは不確かで、天正9年(1581年)4月と、天正10年(1582年)2月の2回に渡って津田宗及の茶席に招かれたのが確認されており、また、九州に渡って、島津四兄弟の末弟、島津家久(1547~1587年)に仕えていたのも確認されている。八木城主時代の豊信の花押と、島津仕官時の花押の文字が一致しており、家久の右筆(ゆうひつ・秘書役)として仕えていたようだ。豊信の没年は不明であるが、地味ながら、数奇な生涯を辿ったと言えよう。



天正13年(1585年)、羽柴秀吉の命を受け、別所重棟が八木城に入り、1万2千石を領した。この別所時代、八木城は近代改修され、石垣が施された。天正19年(1591年)、重棟は死去し、嫡男の吉治が継いだ。文禄元年(1592年)、吉治は、朝鮮出兵に従って3千石を加増され、1万5千石となった。慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いの折には西軍に従って、丹後田辺城の攻撃に加わり、これを落とすのに貢献した。しかし、関ヶ原本戦は東軍の勝利に終わり、吉治は改易の危機に瀕するも、許されて丹波の北由良に転封となった。これに伴い、八木城も廃城となった。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑見張り所の様な跡

登城口から、しばらく登るとあります。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑本丸跡

本丸からの眺望は、木々に阻まれてほとんど望めませんでした。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑本丸跡と石仏

左奥の山が、八木土城です。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑南面の石垣



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑北面の石垣

ここから北の山を登っていくと、八木土城に繋がります。


但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑八木土城

段丘状になっていて、郭が連なっているのが分かります。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑八木土城、最高所

ここが八木城の最高所で、今でも土塁がはっきりと残っています。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑八木城北面

北面は切り込んだ谷と山があるので、こちらからの攻撃はまず無理でしょう。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑八木城南面

南面はやや開けており、ここに小さな城下町がありました。南面には、血の谷と呼ばれる場所があって、かつて羽柴秀長軍と八木城の城兵が戦って、両軍の戦死者で真っ赤に染まったとのいわれがあります。やはり、攻城軍は、南から攻めてきたのでしょう。



但馬八木城
但馬八木城 posted by (C)重家

↑麓から見た八木城

八木城は、山間の小大名の居城であったので、それに見合った小振りな造りですが、八木土城と合わせるとそこそこの規模になります。

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