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中尊寺・高館義経堂

中尊寺は、岩手県西磐井郡平泉町にある寺である。奥州藤原氏ゆかりの寺にして、平安時代の伝統工芸の粋を極めた、一大寺院であった。


中尊寺は、嘉祥3年(850年)、比叡山の高僧であった円仁によって開基されたと伝わる。だが、実質的な開基は、藤原四代の初代、清衡で、長治2年(1105年)、金色堂を始めとする寺塔40余、僧坊300余が建立された。その規模と造形は、京の寺院に勝るとも劣らぬものであった。清衡の半生は戦乱に満ちたもので、父、妻子を始めとして、敵味方、大勢の命を失っていた事から、彼らの冥福を祈ると共に、一族の繁栄、奥州の安寧を願っての建立であった。だが、それだけでなく、京の文化を奥州に寝根付かせると共に、自らの権威を知らしめる狙いもあったろう。


しかし、清衡の願いも空しく、文治5年(1189年)、藤原氏は四代、泰衡の時代に源頼朝によって滅亡を迎える。藤原氏を滅亡に至らしめた頼朝であったが、平泉の壮麗な寺院群には感銘を受けて、これらの保護を命じている。だが、藤原氏という大きな後ろ盾を失った中尊寺は、徐々に衰退し、建武4年(1337年)には大きな火災を受けて、金色堂を除く堂宇のほとんどが失われてしまう。戦国時代には更に荒廃が進むが、江戸時代、仙台藩が成立すると、その庇護を受けて修復を行うと共に、多くの堂宇が新たに建立された。


元禄2年(1689年)には、江戸時代を代表する俳人、松尾芭蕉が金色堂を訪れて、「五月雨の 降り残してや 光堂」との句を残している。昭和26年(1951年)には金色堂が、国宝建造物第一号に指定される。昭和37年(1962年)より金色堂は6年かけて解体大修理され、往時の輝きを取り戻した。平成23年(2011年)、中尊寺を始めとする平泉の仏教遺跡は世界文化遺産に登録される。 




↑中尊寺




↑讃衡蔵(さんこうぞう)


国宝、重要文化財を含む、奥州藤原氏ゆかりの文化財3千点が展示されています。




↑金色堂覆堂


鉄筋コンクリート製の覆堂の中に、金色堂が存在しています。金色堂はその命名通り総金箔で、更に螺鈿や象牙を散りばめた鮮やかな装飾で彩られています。藤原三代の遺体も須弥壇に納められています。その荘厳さには言葉を失います。海外の物産をこれだけ取り揃えた藤原氏の財力の程を思い知ると共に、極楽浄土を現出させたその創造性にも感銘を受けます。




↑松尾芭蕉歌碑




↑経蔵




↑弁財天堂




↑本堂

明治42年(1909年)に再建された建物です。現在、中尊寺に存在する建物の多くは江戸時代のもので、創建時の建物は金色堂以外には現存していません。




高館義経堂は、岩手県西磐井郡平泉町にある居館跡である。高館義経堂は、源平合戦の英雄、源義経終焉の地として知られている。


高館は、北上川に面した丘陵上にあって、平泉一帯を見渡す要衝であった。源義経は平家滅亡の立役者であったが、兄、源頼朝と対立を深めた結果、追われる身となった。文治2年(1186年)秋頃~文治3年(1187年)夏頃、義経は奥州藤原氏の元へと逃れた。藤原三代秀衡は、義経を庇護して高館に住まわせたものの、秀衡は既に病身の身で、文治3年10月29日には病没してしまう。秀衡は頼朝からの圧力に対抗するには、義経を奥州軍の大将にする他ないと考えていたが、跡を継いだ泰衡は、朝廷を動かして圧力を強めるばかりの頼朝に動揺を来たしていた。


文治5年(1189年)4月30日、圧力に屈した泰衡は、500騎の兵を遣わして高館の義経を襲った。義経を守るのは武蔵坊弁慶を始めとする僅か10数人の郎党のみ、彼らが防戦する中、義経は妻と娘を殺害した後、自らも自害して果てた。源義経、享年31。義経の首級は美酒に漬けられて鎌倉へと送られ、胴体、妻子、郎党らの遺体は高館近隣にある雲際寺に埋葬されたと云う。義経を討った泰衡であるが、結局、頼朝に攻め滅ぼされ、同年9月3日、味方の裏切りによって無残な最期を遂げた。


天和3年(1683年)、仙台藩主、伊達綱村によって義経堂が建立され、合わせて義経の木像が安置された。元禄2年(1689年)、高館を訪れた松尾芭蕉は、義経を偲んでかの有名な句を詠んだ。「夏草や 兵共が 夢の跡」




↑高館義経堂




↑松尾芭蕉の句碑




↑仁王像




↑源義経の軌跡




↑義経堂




↑源義経像




↑源義経供養塔




↑高館義経堂からの眺め

高館義経堂に上って北上川を眺めると、悠久の歴史を感じると共に義経の悲運に思いを馳せてしまいます。

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