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多田銀山

2011.04.18 - 歴史の怪奇談
多田銀山は、兵庫県川辺郡、猪名川町にある鉱山跡である。伝承では、多田銀山の始まりは8世紀の奈良時代にまで遡り、東大寺の大仏建立の際、銅を供出したと云われている。戦国時代には技術の革新と、銀行脈の発見によって、大規模な開発が始まる。時の天下人、豊臣秀吉はここを直轄地として、自らも視察に訪れたと伝えられている。慶長8年(1598年)8月、秀吉が死の床についた際、豊臣家の将来を案じて、多田銀山の坑道に大量の黄金を埋めたと云う伝説も残っている。


次の徳川幕府も多田銀山を重視し、代官所を設置して直轄領とした。この徳川時代に多田銀山は最盛期を迎え、銀山町は1万人を越える人々で賑わった。しかし、江戸時代中期を境に産出量は減少していき、町もそれに合わせて衰退していった。明治、昭和の時代に入っても採掘は続けられていたが、昭和48年(1973年)に閉山を迎えた。最盛期には銀山3千軒とまで云われた、かつての賑わいは影を潜め、今は数えるばかりの集落が静かに佇んでいる。


通常、金山、銀山と聞くと華やかな想像が働くが、実際には過酷な地であり、もの悲しい歴史も数多く伝えられている。当時の鉱夫の多くは、粉塵を吸い込む事によって起こる職業病、塵肺(じんぱい)に罹って、若くして死んでいった。また、狭い坑道の中では落盤、転落事故も多く発生し、鉱夫達の平均寿命は30歳前後であったようだ。だが、その分、報酬は高く、彼らの多くは華美な服を着込んで、毎夜毎晩、酒盛りを開き、遊女を抱いては刹那的な生き方を送っていた。しかし、ヨロケと呼ばれる、塵肺が進行してくると、鉱夫は咳き込み始め、やがて呼吸困難に陥って死に至る。その症状が苦しい事から、罹患した鉱夫が自殺する事も多かった。死亡した鉱夫の多くは山中に埋葬され、無縁仏として人知れず、草木に埋もれていった。


銀山跡では不可思議な現象が起こると、よく語られている。この多田銀山も例に漏れず、幾つかの怪奇現象が伝えられている。学芸員が坑道穴の調査に入った際、鎧武者が突然、暗闇に浮かび上がった。集落の丘にある甘露寺と云う寺では、夜中に錫杖の音が響く。かつての墓地跡を造成工事中、ダンプの運転手が突然、目の前が真っ黒になり、横転してしまった。などなど、である・・・


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑代官所跡


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑かつての銀山町

右手にある丘が、甘露寺だそうです。


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑青木間歩


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑金山彦神社

当時の鉱夫達は、ここで安全を祈願してから、危険な仕事場に向かったのでしょう。


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑水抜通風穴


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑瓢箪間歩大露頭

鉱脈がそのまま、地表に現れているそうです。


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑台所間歩

間歩とは、坑道の事です。なんだか、坑道から白いもやの様なものが出ているような・・・多分、光の加減でしょう・・・


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑台所間歩

暗闇の奥の岩石が、人の顔に見えてしょうがない・・・


多田銀山
多田銀山 posted by (C)重家

↑瓢箪間歩

豊臣秀吉の時代に開発されたとされている、間歩です。かつて、秀吉は馬上のまま、間歩の中に入っていったと云われています。そして、ここからも白いもやが出ているような・・・光の加減に違いない・・・そうだ、きっとそうだ!
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