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八王子城

八王子城は、東京都八王子市にある山城である。戦国関東の覇者、北条氏が築いた城で、その規模は関東屈指である。しかし、天下人、豊臣秀吉によって攻め落とされ、無数の死者を出した悲劇の城でもある。



八王子城は、天正6年(1578年)~天正10年(1582年)頃、北条家四代目当主、氏政の次弟、氏照によって築かれたと見られる。氏照は、北条家中では氏政、氏直父子に次ぐ格式と権力を誇る実力者であった。標高460mの城山には本丸と無数の曲輪が巡らされ、麓には氏照の住まう壮大な居館があり、その外には城下町が広がっていた。氏照は八王子城の更なる発展強化を構想していたが、天正18年(1590年)3月から始まった豊臣秀吉による小田原攻めによって、中断を余儀なくされる。この時、氏照は配下の数千人の兵を率いて小田原城に籠城したため、八王子城を守るのは氏照の重臣と僅かな侍衆に、招集した領民合わせて3千人余に過ぎなかった。



豊臣方の攻勢は凄まじく、北条方の支城は次々に落城してゆき、終には八王子城も、前田利家、上杉景勝、真田昌幸ら1万5千人に囲まれた。天正18年(1590年)6月23日深夜の早朝、豊臣軍は闇と霧に紛れて接近すると、城下町を一気に打ち破り、続いて山上の要害と、麓の居館を攻め立てた。豊臣軍は山上の要害は攻めあぐねたものの、麓の居館は打ち破って乱入した。そこに居た婦女子らは悲観して、御主殿の滝にて自刃していった。城方の領民達は持ち場から逃げ散っていったが、侍衆は最後まで戦わんとした。城方は中腹で必死に持ち堪えていたが、豊臣軍は数に物を言わせて背後からも攻め立てて、山頂部を乗っ取った。そして、上下から攻め立てられた城方は各曲輪で孤軍奮闘の末に全滅していった。落城は夜明け後の早朝であったようだ。


戦後、相即寺の賛誉牛秀(さんよぎゅうしゅう)上人は、死者を供養すべく城内を巡ったところ、豊臣軍、北条軍の遺体合わせて1283体を見つけたと云う。実際にはこれ以上の死者と、数倍の負傷者がいた事だろう。豊臣軍は、城内で捕らえた婦女子らを小田原城まで連行して北条方に見せつけ、また、討ち取った侍衆の首を晒したとも、城内に届けたとも云われる。小田原城の諸氏は意気消沈し、降伏開城したのはそれから間もなくの7月5日の事であった。関東には、北条家に代わって徳川家康が入ったが、八王子城は使われる事なく廃城となった。





↑八王子城遠景





↑登山口




↑金子丸


金子三郎左衛門が守っていたと伝わります。





↑柵門跡




↑城の斜面


急峻さが伝わって来ます。





↑高丸




↑展望台から東南を望む





↑本丸跡 


八王子神社が鎮座しています。往時には横地監物吉信が守っていたと伝わります。




↑本丸跡


この石碑は、八王子神社の更に上にあります。




↑本丸付近の石垣




↑大手門跡


八王子城の麓にあります。この先を進むと城主の居館、御主殿に至ります。






↑大手門跡





↑曳橋(ひきはし)


往時には簡単な木橋が架けられていて、御主殿への通路となっていました。緊急時には木橋を壊し、侵入を妨げました。





↑御主殿の石垣


八王子城主、北条氏照の権威を知らしめるかの様な、見事な石垣です。




↑主殿


北条氏照はここで政務を執ったり、使者と引見したりしていたのでしょう。食事と起居は、別の建物であったかもしれません。





↑庭園






↑会所


庭園を眺めつつ、宴が催された場所だと考えられています。




↑八王子城ガイダンス施設


バス停や駐車場もあります。この施設では、映像やパネルで八王子城の歴史の説明が見れます。また、出土品の数々も展示されています。



↑八王子城の模型





↑出土品の数々


青磁碗、天目碗、風炉、香炉、炭化米などが展示されています。





↑ベネチア産のレースガラス器


戦国時代の城からは、八王子城でしか見つかっていないとの事です。




↑土玉と鉄砲弾


土玉は突起を付けて、まきびしとして使用されたと考えられています。




↑中国産の青磁皿





↑在地産の皿と壺の欠片


八王子城は巨大で、限られた時間で全てを見て回る事は出来ませんでした。けれども、城の規模と豪華な出土品の数々から、北条氏照の権力と財力の程は十分伝わって来ます。これは大大名級の城であって、5~6千人の籠城は可能であったと思われます。もし小田原攻めの際、北条氏照が配下の精鋭共々、籠城していれば、そう簡単には落城しなかったでしょう。

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